お知らせ

2015
06/16

フッ素塗布について

当院では、3歳頃から小学生までの患者さんに無料でフッ素塗布を行っています。

フッ素塗布という言葉を、みなさんも耳にすることが多いのではないでしょうか。
フッ素塗布とは、歯にフッ化物を直接作用させる方法で、歯科医師と歯科衛生士だけができるフッ化物局所応用法です。
では、フッ化物ってどんなもの?副作用はないの?とお思いになる方もいらっしゃるでしょう。
今回は少し長くなりますが、フッ素についてお話したいと思います。

 

 

フッ化物は比較的天然に多く存在しています。
むし歯の原因菌の働きを弱めたり、歯の再石灰化を促進し、歯質を強化して、むし歯を予防できると言われています。
私たちが普段口にする食品にも含まれており、中でも食塩やお茶、魚介類に比較的多く含まれていますが、ほかのどのような物質でもそうであるようにフッ化物も多量に摂取すれば当然中毒を起こします。

フッ化物の急性中毒
フッ化物を一時的に大量に摂取すると、吐き気、嘔吐、腹部不快感といった急性中毒がおこります。
日本中毒情報センターは、ヒトのフッ化物経口投与中毒量を
中毒量:約5〜10mg/kg、消化器症状は約3〜5mg/kgで生ずる
とまとめています。
これはどれくらいの量なのでしょうか。
たとえば、当院でも販売している家庭用の950ppmのフッ素ジェルを1本(60g)飲みこんだ場合のフッ化物摂取量は57mgです。
体重20kgの小児の急性中毒量の推定下限は60mg。15kgの小児であれば45mgですから、急性中毒は起こり得ます。
一般に歯科医院のフッ素塗布で用いるペーストの濃度は9000ppmで、小児に使用する量は2gまでですから、この2gの中に含まれるフッ化物の量は18mg。これを全て吐き出さずに飲み込んだとしても、急性中毒は起こらないと言えます。

このように、急性症状を起こすためには通常では考えられない量のフッ化物を摂取する必要があり、また歯科医院でのフッ素塗布では急性中毒は起こりえないと言えます。ですが、体の小さな小児が家庭用のフッ素ジェルを大量に飲み込んだ場合には急性中毒の危険がありますので、保管には十分注意する必要があります。

万が一、大量にフッ素を飲み込んでしまった場合には、すぐに牛乳を飲ませてください。牛乳に含まれるカルシウムと結合して無害のフッ化カルシウムとなり、急性中毒を防ぐことができます。15mg/kg以上飲み込んだ場合には入院加療が必要となりますので、その可能性がある場合には上記の応急処置の後医師の指示を仰ぎましょう。

フッ化物の慢性中毒
では、急性中毒量とはいかなくても慢性的にフッ化物を摂取した場合にはどのようなことがおこるのでしょうか。

歯の形成期、永久歯では出生児から8歳頃までに高濃度のフッ化物を摂取し続けると、歯のフッ素症(斑状歯)が起こることがあります。歯の表層、エナメル質が作られるときに、エナメル質を作るエナメル芽細胞がフッ化物と敏感に反応し、過剰摂取が続くと体のほかの組織には異常がみられなくても、歯が斑状に白くなることがあるのです。歯の石灰化が終了したこの年齢以上でフッ化物を摂取しても、斑状歯は起こりません。
斑状歯は、フッ化物の摂取量を上限量以下にすることで予防できます。
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では、長期的にフッ化物を摂取するのはどういう状況なのでしょうか。

最も継続的に摂取すると考えられる状況は、むし歯予防効果を期待して水道水にフッ化物が添加される場合です。これについてはさまざまな論議がなされ、かつては日本においても試験的に実施されていましたが、現在では日本で行っている地域はありません。

もう一つはフッ化物を使って日常的にお口をゆすぐことです。これはフッ化物洗口法と呼ばれ、永久歯のむし歯予防に有効です。2012年の調査(NPO法人日本むし歯予防フッ素推進会議・財団法人8020推進財団・WHO口腔保健協力センターの共同調査)では約8000施設で89万人が実施しています。また歯科医院での指導により家庭で実施している小児は約35万人と推計されています(2002年調査)。この場合、お口のなかにどれくらいのフッ化物が残って飲み込んでいるかということがポイントとなります。1996年に4、5歳児を対象に日本で大規模に行われた調査では、全体の99.2%は0.5mg以下の残留量となり、0.5mgを超えた小児4名についても追跡調査を行った結果0.5mg以下となりました。上の表からも、この量で斑状歯が生じることは考えにくいと言えるでしょう。

それでは、フッ化物入りの歯磨き粉やジェルを家庭で日常的に使う場合はどうでしょうか?
これは1回の使用量によりますが、適切な量を使った場合には上の表の1日の至適摂取量の数分の1〜半分程度になります。

以上お話ししたことから、極端な使い方をしなければ非常に安全で、むし歯予防にも有効な薬品です。
フッ素に関する詳しい解説は、日本歯科医師会のホームページに記載されています。
https://www.jda.or.jp/park/prevent/index05.html
当院では、ぐちゅぐちゅぺっ、と吐き出せるようになる3歳頃から中学生になるまで、無料でフッ素塗布を行っています。
ぜひお気軽にご相談ください。

 

高円寺の歯周病専門医 はっとり歯科・矯正歯科